その2: 息切れ、目まい 1st day

いやあ思い出しただけでも息切れ目まいがします。

カンザス・・・そこは何もなかった。
いや、いろいろあったんだけど、その在りようが、自分の見慣れたものとあまりにも違っていた。
そんなこと知ってたけど!
ちゃんと学校案内で確かめたけど!
先輩にも聞いてたけど!

空ってこんなに大きかったの?
地平線て横にも伸びてるの?
月ってこんなに大きいの?(←カンザス、月大きい)

くらくらしました。
わくわくしてる余裕なんて微塵もありませんでした。

空港まで迎えに来てくれたESLの先生はとても優しく、
寮の部屋まで案内してくれた寮長もとても優しく、
アメリカ人のルームメートもそれはそれは優しく、
すべての人々が優しかった。

つい20時間前に成田でみんなに囲まれていた自分。
東京のごちゃごちゃした中で動き回ってた自分。
このただっぴろいカンザスにおいては、自分がほんとにちっぽけで、無色透明で、
しかも動きがスローモーションになった感じだった。

「私は無」・・・と考えながら寝た翌朝、
ルームメートのラジオ付き目覚し時計から物凄い音量でカントリー音楽が流れ
目が覚める。
今でもカントリーを聞くとドキッとするのはこのせいかも。

「じーな、夜中にうなされて日本語で何か叫んでたわよ」
とルームメートに優しく言われ、またくらくら。

カフェテリアで朝食を済ませ、同じ大学から一緒に来たIちゃんと購買に行く途中、
二人で立ち止まって周りをぐるっと見回したとき、
「途方に暮れる」ってこういうことをいうんだ、と知覚で初めて知り、
隣にいたIちゃんに、「途方に暮れるってこういうことを言うんだね」
と確認したのをはっきり覚えている。

空は青く、芝は黄緑、太陽ぎらぎら、そして、通りかかるアメリカ人みんな笑顔。
ここはいったいなに?
人工的に作られた空間?
なんでみんなスマイル?

ほんとはみんな無表情で歩いていたんだと思うけど、
その時の私にはみんながハリウッドスターのように真っ白な歯を見せて笑顔で楽しく歩いているように見え、
それがギラギラ太陽にまぶしく反射し、じーなのくらくら度数は最高潮に。

そこが、夢の共学であることに気づいたのは確か次の日になってからでした。

なんであんなに余裕がなかったんだろう20歳の私。
つーわけで、じーな「無」からの出発です。